阻害因子が多ければ多いほど、治療効果が上がらないのは当然のことである。
また、体質に個人差もある。
体質は、生まれながら備わっている先天的な要素〈先天の精)と、生後、水穀の精微といった栄養(後天の精)により決まってくる。
もともと、生まれつき先天の精が弱い場合もあるので、治療家はこれらを総合的に考慮した上で、臨床に携わっていかなくてはいけない。
また、鍼治療についての悪い面が、『養生訓』最終巻の第8巻に触れられている。
鍼は薬や灸よりは利害が大きいので注意して行うようにといった戒めがある。
これは、鍼治療は体を大きく揺さぶるので、やたらに施術するものではないということである。
それに、鍼灸治療に頼りすぎて、患者さん自らが自然治癒力を引き出す力を衰退させてしまう可能性も否定できない。
治療を受けることなく、自然態で生きながら自然治癒力が働いてはじめて真の健康体と言うことができよう。
蜂針療法ミツバチと治療の関係で一番なじみがあるのは、抗菌作用があると言われるプロポリスであろう。
プロポリスには、フラボノイドという主成分が含まれており、副交感神経を刺激して体を自然治癒に導いてくれる。
天から頂いた自然の贈物である。
その他に、ローヤルゼリー、蜂蜜も滋養強壮によく効き、最高にバランスのとれた栄養食品でもある。
ここまでの方は、周知の事実としてよく御存知の方も多いだろう。
では、少し痛々しい治療法として、蜂針療法は御存知だろうか。
針は針でも蜜蜂のお尻から出る針で治療をする。
これも、鍼治療同様、長い時間をかけて創り出された人類の叡智であろう。
ミツバチの蜂毒液には、血圧降下作用のあるヒスタミン、スタミン、血管損傷時に止血に役立つセロトニン、中枢神経を活性化するドーパミン、自律神経系に影響をもたらすノルアドレナリンといった様々なアミン類の他、ガンを抑える働きとして注目されているポリアミン類も含まれている。
その他、細胞の成長促進作用、血圧降下作用などもある。
また、アドラピンという鎮痛作用のあるペプチド類も蜂毒液より確認されている。
痛々しい針から鎮痛効果のある成分が分泌されるとは、実に面白い。
さらに、細胞を活性化させて再生させるには必要な成分であるフォスフォリパーゼA2といった酵素までもが入っている。
自然医食療法の中でも酵素の重要性は以前より言われているように、天然の酵素は自然治癒力を高めるには最高の物質なのである。
蜂針療法は、ピンセットで蜜蜂のお尻から針を摘み出して、主に体のツボ(経穴)や症状部位に刺していく。
刺した部位周辺は、蜂の様々な分泌成分に身体が反応し、赤く斑点ができるが、この反応が自然治癒に一役買うので気にすることはない。
蜂針療法は、肩こり、頭痛、冷え症といった不定愁訴から、五十肩、むち打ち症といった整形外科的疾患、関節リウマチ、アレルギーといった免疫系疾患まで様々な病状に対して有効である。
天然の誠、蜂針は実に頼もしい治療用具なのである。
枇杷葉温圧灸療法枇杷葉温圧灸療法は、温熱、圧刺激、薬効の三拍子がそろった優れものである。
人間の体は、温めるだけでも体に良い生理学的効果をもたらす。
病気は冷えからくるとはよく耳にする。
温熱療法は、血行を良くし、細胞の代謝機能を高めてくれる。
ただし、リハビリテーションの分野で、物理療法の一環として寒冷療法といった症状を一時的に和らげるものはある。
圧刺激は、指圧治療の圧迫といったイメージである。
この単に圧するだけの刺激が、生体に良い生理学的効果をもたらし、自然治癒力を高めてくれる。
また、枇杷葉温圧灸療法を施している際に、芳ばしい香りが漂ってくる。
棒灸の交と枇杷の葉が焦げる臭いは独特で、私はこの香りが大好きでとても癒される。
私にとってこれは芳香療法にもなっている。
つまり、アロマテラピーである。
最後になんといっても、枇杷葉独特の薬効である。
薬といっても天然の薬である。
漢方薬、湯液といったら、内服することにより身体の内側から薬効成分が小腸を通して吸収されて効果を発揮するのに対して、枇杷葉温圧灸療法は、葉を皮層にのせて術を施すので、薬効成分が経皮的に浸透して身体の外側から体内へと入っていくのである。
その主たる成分は、ビタミン団でアミグダリンともいう。
ビタミンB群は三大栄養素の代謝に深く関わっていて、種類も豊富で様々の働きを有している。
そのなかでも一際目立つのが、このアミグダリンである。
以上のように、ほど良い温熱、心地良い圧刺激、天然の薬効といったトリプル攻撃は、酸性化した血液をアルカリ化し、体液の胆(水素イオン指数)を弱アルカリ性(7.2〜7.4)の正常値に落ち着かせてくれる。
末梢血管である毛細血管の手前に細動脈と細静脈をつないでいるバイパスのような動静脈吻合枝(グロミュー)がある。
これがうまく機能しないと、毛細血管が収縮した際、血液は交通渋滞を起こし、古い血である癌血が滞って血液循環不良をもたらし、様々な疾病を引き起こしてしまう。
枇杷葉温圧灸療法は、このグロミューの再生、強化をし、冷え症を含め循環器系の疾患に良い効果をもたらす。
その他、鎮吐作用、抗炎症作用、抗菌作用、鎮咳作用なども挙げられる。
そして、最も頼もしい作用は抗ガン作用である。
ガンの症状のひとつ、痔痛をできるだけ和らげてあげたい。
こんな時、枇杷葉は卓越した効果を示してくれる。
アミグダリンの抗ガン作用を生理学的に説明すると、ガン細胞周辺にあるβグルコシターゼがアミグダリンに触れると、アミグダリンはシアン化化合物とベンズアルデヒドに分解される。
この分解されたアミグダリンの成分がガン細胞を攻撃してくれる。
この際、ローダネーゼという保護酵素が体内にあるので、正常細胞は守られ、ガン細胞だけ選択的に攻撃してくれるのである。
その他、枇杷葉の利用方法として、枇杷茶、枇杷風呂などがあり、これらは身体を内外からきれいにしてくれる。
葉だけではなく、枇杷の果肉を食べた後に残る種子にも利用価値がある。
患者さんで、数年来便秘で悩んでいた方が、枇杷の種をすり潰した粉末を摂取することにより見事に快癒した例もある。
その他、血糖値を平常にさせる働きや、利尿効果により血圧を安定させるなど、枇杷の種は様々な効果をもった魔法の種なのである。
何でも丸ごと頂くことは、玄米といった米に限ったことではない。
丸ごと食べられる小魚や皮ごと食べられる果物や野菜といった全体一物主義を尊重することは、無駄を無くし、また生命を大切にしている証でもある。
自然の恩恵に無駄なものは何も無いと言っても過言ではない。
吸玉療法は、吸角療法とも言い、中国では抜躍療法とも言う。
一般的に丸いガラス製の容器を陰圧状態にして皮虐に密着させることにより、体表に刺激を入れる療法である。
解りやすいたとえをいうと、唇で皮層を強く吸うと、キスマークがつくようなものである。
吸玉療法吸玉療法は、物理的な刺激から考えると、鍼灸にも手技にもない吸引といった刺激を用いる療法である。
刺激量を面積的から考えても、鍼灸は点刺激であるのに対して、吸玉は面刺激である。
ただし、これは、単純に刺激面積をいっているだけで、鍼には吸玉には無い響き(得気)による効果もあるので、どちらが良いとかは一概には言えない。
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